老後の資産運用として、一戸建てはもちろんテラスハウスやアパートも建てられるという点で、軽量鉄骨は魅力的な素材です。けれど木造よりもコストが嵩むので、地震で倒壊しないことは更に必須条件になります。
軽量鉄骨の家は躯体が強固な上、『制震装置』を備えています
↑上の記事に書きました通り、※軽量鉄骨の家は躯体がしっかりしています。
※ 強固な躯体
『躯体が強固である』という内容には、土台と建物の接続方法も含まれます。
軽量鉄骨の場合は土台のコンクリートに鉄製ボルトを埋め込みますから、土台との接着は最強になります。
後は重さで揺さぶられることによって家が損壊することをいかに防ぐか?です。
……ということで、各社『制震』に力を入れ、軽量鉄骨の家には『制震』のための装置が組み込まれています。
以下、取り上げましたハウスメーカーが開発した『制震装置』と、その中に組み込まれ『たわんで地震の揺れを吸収する素材』を一覧表にまとめました。
ハウスメーカー | 制震装置 | 吸収素材 |
ダイワハウス | Z型デバイス | 低降伏点鋼 |
ヘーベルハウス | ハイパワードクロス | 極低降伏点鋼 |
積水ハウス | シーカスダンパー 他、ロッキング式外壁取り付け工法 (耐震) | 特殊高減衰ゴム |
トヨタホーム | T4システム | 高粘性シリコーンオイル |
パナソニックホームズ | アタックダンパ― | 低降伏点鋼を拘束材で挟んで設置 |
以下、各軽量鉄骨ハウスメーカーの説明は、上記一覧表順に並べてあります。
ダイワハウス
エネルギー吸収型耐力壁『D-NΣQST(ディーネクスト)』を標準搭載しています
上の図『D-NΣQST(ディーネクスト)』の黄色い丸の部分を『Z型デバイス』と呼んでいます。
この『Z型デバイス』の図中赤い部分には柔軟性の高い鉄が使われています。
巨大地震の際には、この ※1柔軟性の高い鉄が揺れに応じて ※2たわみ、クッションの役割を果たします。
このクッションにより揺れが吸収され (=制震)、建物へのダメージを抑えます。
※1 柔軟性の高い鉄のことを『低降伏点鋼 (ていこうふくてんこう)』といいます
※2『低降伏点鋼』にたわみが生じることを『座屈拘束 (ざくつこうそく)』と呼びます
★ ダイワハウスの制震・耐震などの地震対策につきまして、詳しくは以下のリンクからご覧ください。
旭化成へーベルハウス
『ハイパワード制震ALC構造』と呼ばれる高強度の柱と梁に加え、『 ハイパワードクロス 』という高性能の制震フレームを用いています
『ハイパワードクロス』に組み込まれている蜘蛛の巣状の制振装置は、斜材と横材の組み合わせにより座屈を抑えながら蜘蛛の巣の中央に揺れを伝達します。
揺れが集中して伝わる中央部分 (=図中赤四角で囲った部分) には、『※極低降伏点鋼 (ごくていこうふくてんこう)』という非常に柔らかい鉄が使用され、それがたわむことによって地震の揺れを吸収します。
※ 『極低降伏点鋼 (ごくていこうふくてんこう)』という比較的新しい鉄材を使用しているのは、ヘーベルハウスのみです
★ 旭化成へーベルハウスの制震・耐震などの地震対策につきまして、詳しくは以下のリンクからご覧ください。
積水ハウス
『シーカス』と呼ばれる制震壁の中に、『シーカスダンパー』という制震装置を組み込んでいます
積水ハウスは『シーカスダンパー』という制震装置に、たわんで地震の揺れを吸収する素材として、特殊高減衰ゴムを使用しています。
ゴムというと劣化が気になりますが、耐久性の高いゴムを使用し鋼管の間に密閉することで、長期間にわたる安定した性能を保証しています。
更に制振装置以外に、
ロッキング(回転)式外壁取り付け工法を行っています
『ロッキング式外壁取り付け工法』とは、地震の際に、構造体の変形から壁が切り離され、異なる動き=ロッキング(回転)をすることを可能にした工法です。
揺れに合わせ独自に動くことで、壁のひび割れや落下を防ぐことができます。
★ 積水ハウスの制震・耐震などの地震対策につきまして、詳しくは以下のリンクからご覧ください。
トヨタホーム
『減衰装置』を搭載した『T4システム』という制震構造を取り入れています
『T4システム』に組み込まれている『減衰装置』には、たわんで地震の揺れを吸収する素材として『高粘性シリコーンオイル』が使われています。
『高粘性シリコーンオイル』は、自動車の振動を抑え乗り心地を改善する装置などに使われているものです。
★ トヨタホームの制震・耐震などの地震対策につきまして、詳しくは以下のリンクからご覧ください。
パナソニックホームズ
総合的には『制震鉄骨軸組構造(HS構法)』という工法を用い、更に『アタックダンパ―』と呼ばれる制震装置を組み込んで、揺れを抑えます
『アタックフレーム』に組み込まれている『アタックダンパー』とは、『柔軟性の高い鉄 (=低降伏点鋼)』 を『拘束材』で挟み、揺れによってたわんだ後、元の形に戻る力を高めたものです。
たわみを戻すことにより、『柔軟性の高い鉄 (=低降伏点鋼)』は何回もの揺れ・さまざまな変形に耐え、クッションとしての耐久性を保ちます。
★ パナソニックホームズの制震・耐震などの地震対策につきまして、詳しくは以下のリンクからご覧ください。
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注意点はコストが掛かることと熱に弱いことです
こうして見てきますと、やっぱり軽量鉄骨は地震に強そうですね~!
…… ということで、逆に軽量鉄骨の弱点も述べておきましょう。
建築のコストがかかる
(火災時の)熱に弱く、撤去作業にコストがかかる
何かに付けコストがかかるので建てられない、というのが軽量鉄骨造りに対する率直なところです。
また、火災の際には『芯がのこる木』に対し、『鉄はぐにゃりと溶ける』ので、避難や撤去が困難になるそうです。
しかし上記を質問したところ、
「木造ハウスメーカーはすぐに火災のことを言うでしょう? 軽量鉄骨には火災の高温に溶け出さないだけの改良を施していますからね!」と、軽量鉄骨側からやんわり否定されました。← The 営業対決 ← 火事より熱い
以上、足で稼いだ現場情報をお伝えいたしました~ ← デカみたい
今回コストの話が出ましたので、次回は、掛かる費用は建築費用だけではない!ということをお伝えいたします!大事!
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