青空が連れて来た【西城秀樹】『ブルー スカイ ブルー』

そのBメロ歌唱も非常にドラマティックで他に類を見ない秀樹。続く強靭なサビで私たちをノックアウトしてくるのは言うまでもない。秀樹の永遠の名曲『ブルー スカイ ブルー』を、青空の下で、きょうも聞こう。

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目次

『ブルースカイブルー』

『ブルースカイ ブルー』は、1978年8月25日にリリースされた西城秀樹の26枚目のシングルである。
秀樹、23歳。

作詞:阿久悠 / 作曲 編曲:馬飼野康二

『若き獅子たち』以来、数々のバラードをものにして来た秀樹の、最大のスケールを誇るバラードだ。

《青空》を歌った楽曲である。

ああ ……、『ブルースカイブルー』@(T-T)@ ← ちょ、最後まで保ってよ~💦

重奏的

このスケールの大きい楽曲を語るにあたり、先ずは演奏の特徴を見てみよう。

『ブルースカイブルー』の演奏は、非常に重層的なアレンジメントになっている。

重奏的というのは、各楽器の奏でる音が重なり合って、1つの音楽を成り立たせている様子をいう。

楽譜でいうと、総譜に対するパート譜(=総譜から特定のパートを抜き出した楽譜のこと)が、各楽器の効果を際立たせることに重点を置いて書かれている。

主旋律を追うことよりも、各楽器が補佐し合い全体のコンビネーションにより楽曲を表現できるようになっている、ということだ。

こういったところが、スケールの大きなバラードにふさわしいオーケストラ的なパート譜になっている、と感じさせる。

構成はストリングスに合唱隊を加えている。
が、それぞれの楽器とコーラスとが要所要所で際立ち、そこに秀樹の歌唱がしっかりと乗って来る

秀樹の歌唱力あっての本格的な演奏構成といえよう。

★ @(*^_^*)@『ブルースカイブルー』の全歌詞はこちらから ↓ ご覧になれます。

23歳の恋愛

17歳でデビューした時から秀樹は、自らの年齢に合わせた、その年齢でしか表現できない楽曲を、着実に歌って来た稀有な歌手といえる。← これを『ライ麦畑でつかまえて』現象と呼ぶ @(//_//)@ ← 名付け猿

今回の『ブルースカイブルー』も、23歳の秀樹と等身大の青年の、やや背伸びをした報われない恋愛を歌っている。

【1番 Aメロ】
あのひーとの ゆーびにからんでいたー
ゴールドの指輪を ひきぬきー

このぼくとーともにー あーるーいーてとー
無茶をーいーぃった・あのー日ー

おそれーなど まーるで感じないーでー
はげしーさが あーいと信じたー

立ちどまるーこともー ゆーるーさーずにー
傷をーつーけたー・あのー日ー

あのひーとの ゆーびにからんでいたー
ゴールドの指輪を ひきぬきー

という出だしが動的で、強引さにハッとさせられ、曲に引きずり込まれる。

ぼくは『年上の既婚女性』に
このぼくとーともにー あーるーいーてとー
無茶をーいーぃったー(・あのー日ー」のである。
そうして、
立ちどまるーこともーゆーるーさーずにー
「(彼女の心に)傷をーつーけたー(・あの日ー)」とも言っている。

阿久悠の、秀樹に贈る最後の歌詞が、こんなにも切ないなんてー。

バラードの始まり特有のウィスパーボイス(=ささやくような歌い方)が、青年の無謀さと強引さ、青年に引きずられてしまう女性の辛さ、を語りながら、

そこに、「純愛の存在」をしっかりと感じさせる

秀樹歌唱ならではの切ない現実味が、私たちの胸を締め付ける。

そうしてぼくは、【2番 Aメロ】
大人ーから頬を 打たれ」るのである。← 一瞬小林亜星がちらつくわ~

Bメロというサビ

『炎』の歌唱で、秀樹がBメロを個別のストーリーとしてしっかりと歌う、という凄みをお伝えした。

この『ブルースカイブルー』では、なんと、
物静かなAメロを2回繰り返した後に (←内容はシビアよ @( ;∀;)@)、
Bメロが「兼 サビ」として登場するのである。← よくやったよ!馬飼野康二~

このサビで一気にこの曲の時空が変化する
振り向」くのは景色であり、過去の「あの時」。

目に映る限りの青空だ!

【サビ】
ふーり向ーけばー あーのとーきのー
目にーしみるそーらーのー あーおさーぁ思うー
かーなしーみーのー たーび立ーちにー
まぶーし過ぎたー空ー 思ーい出ーしたー

突如として現れるサビのメロディ。
広がる世界観。
このサビのメロディは、一度聞いたら決して忘れない強烈な印象を残す。

Aメロのフレーズは「8小節の中に13音」もあるのに対して、サビのフレーズは「5音」しかない。
言葉数が少ないゆえに、雄大でゆったりとしたメロディーラインを際立たせている。

バックにはかなりの人数のコーラス隊が加わっており、雄大なサビを更にスケールアップさせている。

そうしてここで、唯一無二の秀樹のハスキーボイスは、素晴らしい透明感を見せるのだ。
腹からなされる発声と、抜群の声量とを、完璧にコントロールしながら、
青空に届けとばかりのロングトーン

あーおさーが空まで突き抜けて行く。

世界観

ストリングスとハープシコードが奏でるクラシカルな間奏が終わると、半音転調し、サビのリピートに入る。

このサビのリピートの3回目には、サビのメロディーを「ラララ …… 」で歌う。
聴衆にワンテンポ置かせるというか、溜めを入れてから ………

ガッと手を空に突き上げて、異なるメロディラインの大サビが現れる

【大サビ】
青空よ・こ・こ・ろ・を・伝・えてよー
悲しみは・余りにも・おおーきいーーーー
青空よ・遠い・人に・伝えて
さーよなーらとー

過去から繋がる「悲しみ」の時空。

この時空を繋げているのは、「眩し過ぎ」るほどの「青空」だ。

秀樹の腹から発声される熱唱が響き渡れば渡る程、それ以上に空は青さを深め果てしなく広がる

王様の耳はロバの耳
海に向かってバカヤロウだ。

私達はやるせない思いを、大自然に向かって爆発させるではないか
あれだよ。

自然の懐は深い。
自然の中に吸い込まれ、伝えたいけれど伝わらないからこその、清らかな熱唱がここにある

けれど大自然は何処までもあの人に繋がる唯一の手立てでもあるのだよ

青空に吸い込まれていく「悲しみは・余りにも・おおーきいー

きっと届く「さーよなーらーとー

秀樹、歌い上げ、
全てを振り切ったように
両手を思いっきり広げ、
青空をバッと仰ぐ。

「青空」がもたらす包容力と、吸い込まれるような無力感

「青空」が仲介する相手との繋がりの永遠性。

「青空」をテーマにしたこの『ブルースカイブルー』は、大自然と私たち人間との間にある普遍の関係性を、見事に歌い上げている。

姿を変えた『ブルースカイブルー』

2018年5月16日に逝去した西城秀樹。

その出棺の際、秀樹の
「分かってるな!死ぬ気で乗れよ!」の言葉を合図に『ヤングマン』が流れ、ファンたちは少し励まされるような思いで秀樹と唱和した。

が、継いでこの『ブルースカイブルー』が流れるやいなや、総崩れに泣き伏すしかなかったのである。

『ブルースカイブルー』は、その普遍性を保ちながら、愛する人との訣別は、永訣( = 永遠の別れ = 死別)へと姿を変えた。
… 新しい姿が加わった、と言うべきか。

美空ひばりの『川の流れのように』ですら、そのような変化は見せなかった。

『ブルースカイブルー』の有する強靭な世界観が、秀樹歌唱が鮮明に描いた「青空」が、揺るがないものであるからこそ、このような変化が生まれる余地(= 柔軟性)が生じたのである。

@(T_T)@ ちょっと泣き休憩ですかな ← 自分で書いといてこれ ……

かーなしーみのー たーび立ーちにー
眩ーし過ぎたー空ー
思ーい出ーしたー

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レコードver.

今回レコードver. を聴いてみて、エンディングの処理の仕方にも大いに唸らされた。

大サビは、直前のサビ(Bメロ)のリピート「ラララ ……」の合唱隊をバックに流したまま、そこに、
青空よ・こ・こ・ろ・を・伝え・てよーー」という秀樹が歌う全く別のメロディー( = 大サビ)が被さってくる

この「青空よ・ 〜」が登場する時の爽快さといったらない。

更に、
青空よ・ 〜」と歌っている秀樹の大サビボーカルだけが先にフェードアウトし、
合唱隊が歌う「ラララ 〜」のサビ(Bメロ)のメロディーのボリュームが上がった後に、
楽曲全体がゆったりとフェードアウトしていくのである。

楽曲を終えるにあたり、壮大な歌詞を支えるのに不足のない、余韻の残る、美しいアレンジメントとなっている。

秀樹は、
「この『ブルースカイブルー』に出逢えて良かった。」と、後にしみじみと語っている。

「青空が連れてきた」西城秀樹。

「青空」のように歌い

今「青空」を見上げれば

彼はそこにいる。

秀樹が残してくれた『ブルースカイブルー』一緒に聴きましょうか。
歌を聞けば、日々を暮らせば、青空を振り仰げば、そこに秀樹は生きています

西城秀樹で『ブルースカイブルー』です。どうぞっ!



★ 阿久悠氏が秀樹のために作詞された最初の女性が、『君よ抱かれて熱くなれ』に登場します。この女性は『ブルースカイブルー』の伏線なのでしょうか @(?_?)@

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