日本の音楽シーンにロックという楔(くさび)を打ち込んだ”ロックの申し子”【西城秀樹】

雷鳴轟く後楽園球場で秀樹が歌った「エピタフ」は、その雷鳴が奇跡の音響効果となったと現在も語り継がれている。秀樹が日本に上陸させたロックについて、きょうは語ろう。

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目次

トーク・イベント

音楽業界誌『ミュージック・ラボ』の編集などで音楽に携わって来られた 故 佐藤剛氏。
氏は、2019年12月1日に下北沢・タウンホール内のイベントスペースにおいて、西城秀樹をテーマとしたトーク・イベントを開催した。

その時の様子を、『西城秀樹さんのトーク・イベントを終えて感じたロックへの熱い想いを伝えたい』と題して、M-ON!Press(エムオンプレス)に寄稿されている。

以下、その内容を抜粋して行こう。(同種の表現に言い換えた箇所もあります。)

西城秀樹のアナログレコードを聴いて、日本の音楽史における彼の音楽の評価を、もう1度冷静に考えてみたいと思い、勉強会のつもりでトーク・イベントを開催した。

この日準備したアナログレコードは、

▪︎1974年に発売された2枚組ライブ・アルバム『西城秀樹リサイタル ヒデキ・愛・絶叫!』

※ このアルバムには、前年1973年11月7日に東京郵便貯金ホールにおいて開催された、2回目のコンサートの模様が収録されている。

▪︎1979年に発売されたやはり2枚組のライブ・アルバム『BIG GAME ’79 HIDEKI』など。

皆さんとレコードを聴いていくうちに、

なんとも切実な"ロック衝動"が伝わってきた。

そうして、芸能界で派手なアイドルとして売り出されていた若者が、実は"ロックの申し子"だったのではないかという思いを強くした。

〔系譜〕

① 1955年西城秀樹誕生。

その年に日本に初めてロックンロールが上陸。

全世界で映画『暴力教室』が公開され、主題歌の『ロック・アラウンド・ザ・クロック』がヒット。

これは、大人社会や教師に反抗する若者の映画とその魂を乗せた曲である。

② その頃、アメリカ南部から登場したエルヴィス・プレスリーが、

「ハートブレイク・ホテル」の大ヒットによって世界的にブレイクしていく。

③ エルビスの影響で、ジョン・レノンやポール・マッカトニー、ミック・ジャガー、キース・リチャーズなど、無数ともいえる世界中の少年たちがロックに目覚める。

そうした記念すべきロックの時代に生まれ育ったことや、

音楽好きの父と兄がいた家庭環境から、

日本にも広島で"ロックの申し子"が誕生していたのである。

アルバムの話に戻るが、皆さんとお聞きしたかったのは、

『BIG GAME ’79 HIDEKI』に収められているキング・クリムゾンのカヴァー曲「エピタフ」だ。

9分近い大作だが、激しい雨と雷鳴が轟く中で決行された後楽園球場でのライブにおけるハイライトになった。

その素晴らしいテイクをレコードの音で、大勢の人と一緒に聴いてみたかったのである。

『西城秀樹さんのトーク・イベントを終えて感じたロックへの熱い想いを伝えたい』M-ON!Pressより

エピタフ

1969年に発表されたキング・クリムゾンのファースト・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』(In The Court Of The Crimson King)に収められた5曲の内の1曲が「エピタフ」である。

それまで、歌詞よりも演奏技術に重きを置いていたロック界では、特に即興演奏をその醍醐味とする傾向にあった。

それに対峙するかのようにして編まれたこのアルバムは、クラシックやジャズの要素を巧みに取り入れ、即興の入る余地を許さない、完璧で深遠なロックの世界を構築した、と評価されている。

と同時に、ボーカルの歌唱する歌詞にもより重要な意味と役割を持たせた

ロックといえば眼前の事象を歌っていた時代。
「反抗」と「攻撃性」とをメジャーとして来た系譜に待ったをかけたのである。

『クリムゾン・キングの宮殿』に収録された5曲は、ピート・シンフィールドの作詞により、抽象的・神秘的な世界観を有す。

特に「エピタフ」中に出て来る「"混乱"こそ我が墓碑銘 (Confusion will be my epitaph)」というフレーズはロック史に残る名フレーズであった。

『エピタフ』の内容は
“預言の書がひも解かれ、人間の犯す愚行が次々と読み上げられる。
そうして、人類が迎える終焉として「Confusion(混乱・混迷)」という文字が現れた(ことを私は深く嘆く。)“というものである。

「哲学」という崇高な新境地を歌にした訳である。

そうして、こうした奥深い内容を伝えるためには、自然、歌唱(ヴォーカル)の力に頼るところが大きくなったのはいうまでもない。

Epitaph(墓碑銘)

King Crimson – Epitaph(墓碑銘)

作詞:Peter Sinfield

【1番】
The wall on which the prophets wrote
予言者達が書き付けた壁は
Is cracking at the seams
割れ目から崩れ落ち
Upon the instruments of death
殺戮の道具の上に
The sunlight brightly gleams
日の光は燦然と輝く

With nightmares and with dreams
あらゆる人が悪夢や夢想とともに
When every man is torn apart
引き裂かれていく時
Will no one lay the laurel wreath
栄冠など何処にもありはしない
When silence drowns the screams
静寂が叫びを呑み尽くしてしまう

Confusion will be my epitaph
混乱こそ我が墓碑銘
As I crawl a cracked and broken path
ひび割れ荒廃した道を私は這い進む
If we make it we can all sit back and laugh
どうにかなるものなら腰を下ろし笑ってもいようが
But I fear tomorrow I’ll be crying
しかし 私は明日を怖れ、叫び続けるだろう
Yes I fear tomorrow I’ll be crying
そうだ 私は明日を怖れ 叫び続けるだろう
Yes I fear tomorrow I’ll be crying

【2番】
Between the iron gates of fate
破滅の定めの鉄門のもとに
As I crawl a cracked and broken path
時の進行の種子は播かれ
Who know and who are known
聡明かつ著名な偉人達の行ないが
And watered by the deeds of those
水を与えてきた

If no one sets the rules
掟を決める者がいないのなら
Knowledge is a deadly friend
知識とは死を招く友
The fate of all mankind I see
全人類の破滅の定めは
Is in the hands of fools
愚者どもの掌の上にあるようだ

繰り返し

Yes I fear tomorrow I’ll be crying
そうだ 私は明日を怖れ 叫び続けるだろう
Crying
Crying
Crying
Crying
Crying
Crying

ロッカー 秀樹

【Aメロ】
ザ ウォ―――ル オンフィチザ プロ―フェツロウト
イズクラッキンアトダシームス ← この辺のカタカナ翻訳、全力でやっています & 笑っちゃダメ @(//_//)@ ← 思わぬことをやり出す猿

歌い出し、「ザ ウォ―――ル」の低音が重厚感をもって発声される。
秀樹はロックの歌い方、声の出し方を知っているからね。
だから、ズドンと我々の体にぶつけるように歌ってくるんだよ。
それができるのだ。

秀樹の表情もロック
鼻翼をグッと引き上げ、口をガッと開ける。

(「一応アイドルデビューなんだから表情崩すな~」となるのが普通よ @( ;∀;)@ ハラハラ)

ところがこれが、めっちゃくっちゃにかっこいいのだ!
秀樹だ・か・ら!
ロッカーだ・か・ら!← ヒデキ・愛・絶叫!

ヴォーカル 秀樹

フェンサイレンスザダウンザ スクリ――――ムス ← Aメロ最後でグゥゥゥゥッと上げて来て~

【サビにも匹敵するBメロ】
コン フュ ジョン マイ エピタフ

ああ~、この艶のある高音が、遂に、―――@(T∀T)@キタ―――ッ
しかも、コン「フュ」で声を泣かせてますからね ← 瞬間ファルセット

アズアイクラーウル アクラックドエンドブロクンパス

↑ 同じメロディを繰り返す聞かせどころ。
アクラックドエンド」で、秀樹が生まれながらに持つハスキーボイスが入るの、お聴きになった?@(T-T)@ワ~オ、これだから秀樹は止められないですわ。

【サビ】
バッタイヒュートゥマロウ アイムクライング
イエスアイヒュートゥマロウ アイムクライング
イエスアイヒュートゥマロウ

アイムクラアアアアアアアアイング

【サビ】でも同じメロディが3回繰り返される。
歌詞もほとんど同じで3回。
この主張の熱さがロック

そうして秀樹、3回目の「クラアアアアアアアアイング」で、ロックの見せ場、ド派手にカッコいいシャウトが来るのだ!← 宇随天元さま聞いてる~?← 4人目の嫁に加えてください @(//_//)@

もうね、ヴォーカル秀樹の本領発揮なのだ~ ← 魅せるね、頼りになるね
バンドの前方にすっくと立ち、歌い上げるヴォーカルさまなのだ~ ← 秀樹、ドラマーも行けるけどね~ @( ;∀;)@
秀樹をヴォーカルに持つバンドは最強だよ~、

神降臨!

ダビデ 秀樹

長身、水泳部の骨格でステージに降り立つ秀樹。

過労に過労を重ねてガリガリに瘦せていた20歳の頃に比べ、程よく肉が付いている。
筋肉の盛り上がりがよくわかる体。

カールしたモフモフの長い髪をなびかせ、ダビデの像ように神々しくかっこよい。

フレディ風の衣装は、片方の肩を抜いて、肉体美を雨に打たせている。← @(*ノωノ)@ シャー!

ロックは体という魂で歌う。

そうして、男性のセクシャリティを必須とするロック。

"ロックの申し子"が歌う『エピタフ』は、歌唱においてもパフォーマンスにおいても荘厳だった。

神との共演

さて、
この『エピタフ』の間奏から神が雷鳴を轟かす。← @(>_<)@ 秀樹おヘソ隠して〜 ← 毛が生えているから大丈夫!← @( ;∀;)@ えっ?

迫力の秀樹の歌声にぴたりと合わせ、間奏に入るやいなや長〜く尾を引いて雷鳴。

マイクを置いた秀樹がロックの神に捧げるような動きをする。
その時、今度は凄まじい雷鳴がガツンと来る。

物凄い雨の音を挟んで、再び歌声を促すように雷鳴。

この後秀樹は、轟く雷鳴とともに、マイクを通してビリビリ感電しながら歌ったそうだ。

神の愛はマイクを通して秀樹に伝えられたのか、と思った。← 痛過ぎだけれどね〜 @( ;∀;)@

まさに、神に魅入られた男、命がけの熱唱である。

また、見守るファン達も、雷に打たれて(絶命も)本望と覚悟を決めた、というから鳥肌ものだ。

ロックという楔(くさび)を打ち込んだ西城秀樹

さて、
西城秀樹が日本に打ち込んだロックの歌唱法やパフォーマンス。
これは脈々と現代に引き継がれている。

先ずは1990年代に一世を風靡した
河村隆一(LUNA SEA)
西川貴教(T.M.Revolution)
Gackt
等は、秀樹の影響を受け、秀樹をリスペクトし、歌唱法を模倣することを行っている。

そうして上記彼らが大御所となり、彼らから間接的に秀樹の影響を受け継いだのが、現在の”V系 = ヴィジュアル系”バンドだ。

X JAPAN
Dir en grey
黒夢
といったところになる。

特にX JAPANのYOSHIKIが秀樹とともにコラボ曲を制作したことは、非常に意識的で示唆的な出来事であるといえる。

佐藤剛 氏

冒頭に述べた佐藤剛氏はこのような言葉でトーク・イベントを締め括っている。

クイーンやエルトン・ジョンの伝記映画がつくられて、ドキュメンタリーではなく、エンターテイメントとして楽しめる音楽作品がこのところ増えてきている。

そう考えると西城秀樹の世界もまた、いつの日にか連続ドラマや大河ドラマになってほしいと、素直に思えたのだった。

なぜならば、それが日本の歴史のひとコマなのであり、ひとつの時代を描けるからである。

これもまた何かの行動を起こさないと夢は実現しないということの、象徴的な出来事のような気がしている。

だからあきらめてはならないのだ。

一人ひとりの愛情とともに、西城秀樹の歌と音楽は今でも生きている。

そこから生まれる力を信じようと思った。

取り敢えずレコードやアルバム、コンサート映像やテレビ出演映像をー。

復刻版レコード、CDやDVDで残らず発売してくださ〜い!@(>人<)@ ← 切実!

より幅広い層に伝えるためにも、地上波で秀樹を放映してくださ~い!← きょう、これらを言いたかったが為に書いたの?疑惑も

それではっ、ダビデと神の共演、行きましょう。↓「YouTubeで見る」をタップしてくださいませ @(_ _)@

西城秀樹で『エピタフ』🎵
注1: 音源はBIG GAME ’79 HIDEKI in 後楽園球場のものです。← 雷鳴轟くよ〜♩
注2: 画像はBIG GAME ’79 HIDEKI in 大阪球場のものです。
注3: 雨や稲光りは合成で入れてあります。
@(._.)@ Jasmine*さま、お手の込んだ作品をアップして頂きましてどうもありがとうございました。LOVE ❤︎

デビュー直後のライブでヴォーカルを務めた秀樹の映像はこちら ↓ でご覧になれます

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