【朝の連続テレビ小説「ちむどんどん」】を悼む

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目次

「ちむどんどん」

比嘉家 (左から)優子・賢秀・良子・暢子・歌子

現在「史上最低の朝ドラか?」とお茶の間の皆様をざわざわさせている「ちむどんどん」である。

そもそもこの「ちむどんどん」は、沖縄本土復帰50年を記念して、沖縄出身の主人公:比嘉暢子(黒島結菜/子役は稲垣未来)が食を通じて成長を遂げる物語という触れ込みで、2022年4月1日よりスタートした。

暢子を取り巻く人々として
母:比嘉優子(仲間由紀恵)
亡父:比嘉賢三(大森南朋)
兄:比嘉賢秀(竜星涼/浅川大治)
姉:石川[旧姓 比嘉]良子(川口春奈/土屋望乃)
妹:比嘉歌子(上白石萌歌/布施愛織)
幼馴染の豆腐屋の息子:砂川智(前田公輝/宮下柚百)
東京から来た友達:青柳和彦(宮沢氷魚/田中奏生)
その父:青柳史彦(戸次重幸)

名作の予感

比嘉家 青柳父子とアババを食す

そうして早くも4月14日第4話では、他者への配慮と自身の利益とのはざまで揺れる秀逸回が放映されたのである。

この日暢子の誘いによって比嘉家にやって来た青柳史彦(戸次重幸)と息子の和彦(田中奏生:子役)。
その父子をもてなす為に、賢秀が面倒を見てきた豚の「アババ」がつぶされ(← 殺処分のことです @( ;∀;)@) 食卓に出される。
衝撃を受ける賢秀に対し父 賢三は
「黙ってつぶしたのは悪かった。だけど、お前たちも分かっていただろう。いつかはこんな日がくるのを。」と前置きし、
「『いただきます』とは命をいただくこと。だからきちんと感謝しながらきれいに食べてあげる。それが人の道、筋を通すことさ。」と教えを説く。

兄が心を込めて世話をしたアババは、豚であっても配慮する相手。
けれども生きる(ここでは大事な他者をもてなす)為に私達は、相手の命を奪っていただく。
この究極の二者択一を、第4話にして、視聴者は突き付けられた訳である。

この後の歌子の一言、
「アベベはお正月に食べるの?」も効いていた。

沖縄本土復帰50周年

1972年5月15日 沖縄本土復帰

1945年3月26日、沖縄の慶良間諸島への米軍上陸を封切りに「沖縄戦」は始まった。6月末まで続く激しい戦争である。

平坦な地である沖縄は隠れる所もなく、いわゆる壕という天然の洞穴へ多くの人が逃げ込み、苦しい生活を強いられることとなった。一般住民の犠牲者数は、戦死した兵士の数を大きくうわまわった。幼い子どもたちも、例外なく殺された。

これは沖縄の人々が望んだことでは勿論ない。

「本土防衛」を目的に、日本軍の基地や陣地が沖縄本島や離島に建設されていた。そこを米軍に狙われたわけである。
はっきり言えば、本土上陸を阻止するための沖縄、沖縄は本土の捨て石になったのである。

その後も沖縄の犠牲は続く。

1949年5月には、アメリカが沖縄の分離統治を決定。この時から米軍による沖縄の基地化が進んでいく。
一方経済においては、実態に合わないドルでの支払いが義務付けられ、
沖縄には製造業が育たず、基地依存の輸入型経済を形成せざるを得なかった。
その上沖縄本土復帰までの27年もの間、日本政府からの支援も受けられない。

その結果として、本土復帰を果たした昭和47(1972)年 ←「ちむどんどん」時の沖縄は、
道路、港湾、学校、住宅など社会資本のあらゆるものが不足していた状態だったのである。

「本土」の人々にとって沖縄は、「アババ」を食することとは全く違う次元にあるものだが、罪深い悩ましい選択であったと思いたい。
沖縄の人々が大切にしてきた「沖縄」を沖縄戦では、沖縄の人々が意図するとしないとに関わらず、「本土(の為)」と「アメリカ」に差し出して、
やっと戻ってきた現代 ー 50周年がある

私達は「ちむどんどん」において、
私達が目をつぶって見ようとしないで来た「他者への配慮」や「止むに止まれぬ選択」に揺れ動く現実、
そういったものを、時には歯をくいしばりながら、でも時には歌子の一言のように和みながら見るのだ

と、「ちむどんどん」に名作の予感を抱いたものであった。

配慮ゼロの主人公 暢子

「アッラ・フォンターナ」で働く暢子

この暢子が驚き桃の木の配慮ゼロ人間なのだよ~

第28話でイタリアンの名店「アッラ・フォンターナ」の厨房に入ってから、なんと第41話まで(物語中では2年が経過)
真っ白いコック帽の下から黒い髪の毛がモシャモシャ扇状にはみ出す無法振り。← 食への配慮はどうした?アババ無念だよね~ @( ;∀;)@

小さいことを挙げていたらキリがない程の無配慮を毎朝毎朝披露するのだが、← 嘘でしょ?嘘でしょ?嘘でしょ?の毎朝 ← 朝の無配慮連続テレビ小説 @( ;∀;)@

そんな中でも、無配慮の極限ここに極まれり!は、
和彦との結婚の経緯と結婚式!!!これに尽きるね!!!

暢子と和彦の結婚

暢子と和彦の結婚式

沖縄で子ども時代の一時期を共有した和彦(宮沢氷魚)は、今や東京の新聞社に勤め6年越しの恋愛関係にある愛(飯豊まりえ)とは結婚に向けて動き出している(第57話)。

一方で、沖縄の幼馴染みで上京し起業を目指す智(前田公輝)は暢子に、
「死に物狂いで頑張って必ず成功してみせるから、その時にはちゃんと俺の話を聞いてくれ。」を始めとして、
露わに暢子への気持ちを伝え続ける。

和彦と婚約までした愛ちゃん

そんな愛と智に対して暢子はそれぞれ、次のような言葉を告げる。
暢子から愛へ
「うち、和彦くんのことが好き。自分でもずっと全然気づいてなかったけど、好きって分かってしまったわけ。でもさ、あきらめる(それは愛という恋人がいるから)」
暢子から智へ
「智がうちに感じているのは愛情じゃなくて友情。」← 主語を代えて『うち』が『智』にって言えよ~ @( ;∀;)@ いくらなんでも
「うちは料理に集中したい。自分の店を持つという夢もある。(だから結婚はしない)」

しかし、愛を安心させ、智には結婚の意思すらないと告げた(舌の根も乾かぬ)10話後の第76話で、暢子と和彦は互いの愛を告白し合うのだ。

お・ま・け・に ← @(>_<)@ もう勘弁して…ブルブル
第90話での2人の結婚式では、智に!2人への!お祝いの言葉!を言わせるんだよ~ @(0_0)@ ← 白目…ブクブク

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ダメ人間 ニーニー

ニーニーこと賢秀 首に巻いているのはマグネット・オーロラスーパーバンド一番星

実は、暢子を始めとして、比嘉家全員が相手への配慮に欠ける行動をしてみせるのだが、
ここに、配慮とかもぶっ飛ばして、とんでもない破壊力キャラが登場しているのだ。

まともに働く気はなく、一発当てて大金を稼ごうとするやまっ気が異様に強い賢秀(竜星涼:ニーニー)
彼の、金にまつわる常軌を逸したエピソードをあげたらキリがない。

・第18話 … 我那覇(田久保宗稔)の本土返還時の1000ドル投資話に騙され、借金を残したまま逃亡
・第30話 … 暢子の財布から金を抜いてギャンブル
・第33話 … 良子(川口春奈)の婚約者金吾の父に「(良子にまとわりつく)ストーカーとの手切れ金が必要。」と嘘を付き、10万円を騙し取ろうと画策
・第44話 … 上記 我那覇から勧められ、怪しげな紅茶豆腐を売りさばく。(売り上げ金は我那覇が持ち逃げ)
・第91話 … 上記 我那覇の誘いでねずみ講に引っ掛かり、自らもそれを勧誘する側になる。
その他に無銭飲食など
子どもの頃も万引きをしていたんだって(第94話)

このキャラって朝ドラに要る?要ります? 
……っていうか、99.9%のドラマにおいて、使いもんにならないキャラでしょう?なにこれ、野放しでいいの?

@( ;∀;)@ 時々養豚場で働きます。← 焼石に水

穿った見方

羽原大介 氏

脚本家:羽原大介氏もプロである。
この荒唐無稽、はちゃめちゃなキャラ設定やストーリーは、やはり彼の意図するところ、本意ではない、と思う。

いま日本は文字通り「内憂外患」だ。 
国内ではコロナ禍、国外ではロシアがウクライナに侵攻し、アジア情勢も危うい。
この機に乗じて政治家は憲法を改正し、軍備の保持・増強に努めたいし、徴兵制導入なんてことも考えているのか。
アメリカへの忖度もある。

政治家がスルリと何かを行いたい時、
彼らはわざと騒ぎを起こして、国民の目をそちらに向けるものだ。

ちむどんどん騒動

沖縄本土復帰50年の節目に、
沖縄戦の悲惨を、復帰までの悲劇を、今なお抱える基地問題を
やはり正面からは取り上げたくはない。それが政治家だ

天下のNHKを以てして「ちむどんどん狂騒曲」を巻き起こす。視聴率も下がらない。放送終了の9月末まで引っ張れば、今年も残り3ヶ月だ。

沖縄本土復帰50年を記念するセレモニーはちむどんどんせず消え去って、
一体なんだったんだろう、と来年になる。

これが私の穿った見方である。
むやみにちむどんどんせず、「ちむどんどん」の奥にあるもの、を見極めよう

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